中村りんの心理学研究所

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ナルシスト・ナルシシズム・自己愛性虐待を詳しく解説しています。

なぜナルシストはターゲットを切り捨てるのか?|自己愛性パーソナリティ障害

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今回は「なぜナルシストはターゲットを切り捨てるのか?」というお話をしたいと思います。
ナルシストとの関係には、かなり高い確率で虐待のサイクルというものが存在します。
 
第一段階 ラブボミング(Love bombing)
第二段階 脱価値化(Devaluing)
第三段階 廃棄と別れ(Discarding)
第四段階 フーバリング(Hoovering)
 
別名、愛の爆弾とも呼ばれるラブボミングは、彼らが自分を偽り、親切で良い人を演じるターゲットの品定めの段階です。
次にナルシシズムの本性を出すのが脱価値化で、ものすごく批判的で意地悪な姿に豹変し、ターゲットの価値を下げ始めます。
 
今日お話しするのは、第三段階目の廃棄と別れです。
このブログでは、どうしてナルシストはターゲットを捨てるのか、なぜこのサイクルが起こるのか、ナルシスティック・アビュース(自己愛性虐待)の根本的な仕組みを解説します。
 
こちらの電子書籍とビデオガイドでもナルシストの虐待のサイクルや、ナルシストの虐待から回復するための心のケア方法などについて詳しく解説しているので、どうしても関わらないといけない時のナルシストへの対処法を知りたい方は、是非下記のリンクからチェックしてみてくださいね。
 
廃棄と別れはアメリカの心理学ではDiscardingと呼ばれ、捨てる、廃棄する、放棄する、切り捨てるという意味になります。
このフェーズは脱価値化が始まり、じわじわと訪れることもあれば、ナルシストとの出会いから何週間後、何ヶ月か後、または結婚後何十年後に当然起こるケースもあります。
 
廃棄と別れは2パターンあります。
1つめは、ターゲットが虐待や嫌がらせに耐えられなくなって逃げたり、ナルシストの振る舞いに愛想をつかし距離をおくパターン。
もう一つは、逆に加害者であるナルシストがターゲットに別れを告げるパターンです。
 
例えば、具体的な例で言うと、ターゲットが職を失った時。
太った、痩せた、歳をとったなど見た目が変わった時。
メンタルが疲弊したり、体調不良を訴え始めた時。
ターゲットが病気を患ったり、パートナーが妊娠した時など。
ナルシストは自分が責任を取らなければならない時や、彼らにとって都合が悪くなると、廃棄と別れをしやすい傾向があります。
 
ターゲットは、いきなり彼らに散々振り回された挙句、当然何もなかったかのように捨てられるというような非常に辛い経験をします。
その関係において、精神的な疲労が蓄積し、暴力や精神的嫌がらせにさらされながらも、ラブボミングの心理的操作とガスライティングが交互に繰り返され、関係から抜け出すことが難しい状況に陥ることがあります。
 
その結果、関係から抜け出すことができたとしても、ターゲットは喪失感や罪悪感を感じ、自尊心の低下により無価値感や孤独感を感じるでしょう。
他人を不幸にしてまで、自分本意の行動を繰り返し、他者を精神的にも身体的にも傷つけても平然としていられるナルシストは、どうしてこんなにも残酷な廃棄と別れを行うのか。
 
今からその理由について迫っていきますので、今こうした出来事を乗り越えていらっしゃる方は、ぜひ参考にしていただきたいです。

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なぜナルシストはターゲットを切り捨てるのか?

①自己陶酔が必要なくなった
 
ナルシストは定期的に、自己陶酔と呼ばれる感情のエネルギーを補充しなければなりません。
この自己陶酔の「サプライ」として他人を利用します。
 
他人からの注目や賞賛が自己価値感を維持するのに重要で、つまりナルシストは自己陶酔中毒に陥っている状態です。
しかし、一時的に誰かから自己陶酔を得ることができたのであれば、もうターゲットは必要ありません。
 
彼らにとって自己陶酔とは、息をしているのと同じくらい自然なもので、例えば、車にガソリンが必要だったり、お腹が空いたらご飯を食べるのと同じように、生活していく上で欠かせないものです。
ただし、これが減少すると、フーバーリング(再引き寄せの試み)を行うことがあります。
 
フーバリングは、彼らの自己陶酔のタンクが空っぽになってくると起こるもので、この時、酷い別れ方をしたにもかかわらず急に復縁を迫られたり、何事もなかったかのように接してきたり、再びターゲットとの接触を試みます。
全ては自己陶酔のサプライ目的で、ナルシストは他人を利用価値に応じて評価し、必要なものさえ手に入れられれば、ターゲットを切り捨てることがあります。
 
自己陶酔を吸い付くすことができたら、彼らは幸福感が高まり、精神のバランスが安定します。
皆さんも経験あると思うんですけど、自己陶酔、サプライを搾取するためにしれっと連絡をとってきたり、第一段階のラブボミングに逆戻りしたりしますよね。
 
これには、ナルシストの心の中には、共感や同情が不在していることが挙げられます。
自己愛の強い人は相手を思いやるポジティブな感情がないので、過去にターゲットに対してどんなに酷いことをしても、謝罪や反省がないのが特徴です。
 
彼らの歪みに歪みまくった、非常に歪な性格は、人間関係において、健全な関係を維持するのが難しい理由の一つです。
ナルシストでない人は、争いを避けますが、ナルシストは人と衝突しやすく、穏便にその場を収めることはありません。

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②正体を見破られた
 
ナルシストがターゲットを切り捨てる2つめの理由は、彼らが正体を見破られたこと、ターゲットがナルシストの性格の異常さに気づいたこと、あるいはターゲットが「もしかすると、この人はナルシストなんちゃうかな?」と気づいたことが挙げられます。
これらの状況において、ナルシストは被害者であるターゲットに自分がしてきたことを晒されると、過剰に反応したり、焦ったりするんですね。
 
なぜなら、彼らは自身の問題行動の責任を取りたくないし、自分の内面で作り上げてきた完璧な自己イメージを傷つけられたくなく、他者に邪魔されたくないと考えているからです。
まさに「敵は排除せんとあかん」「正体を暴かれてしもたら、もう自己陶酔できんようになる」とナルシストは考えます。
 
ターゲットにこれ以上自分を受け入れてもらえないと理解したナルシストは、自己陶酔のサプライがまるで砂漠にいるように空っからの状態になりますよね。
自己陶酔も得られない、本性を見破られ、マスクを剥がされてしまったら逃げるしか手段がないのです。
 
忘れないでください。
ナルシストはドラマが大好きです。
NPDは、パーソナリティ障害のクラスターB群の一部で、自分の子にすら自己陶酔のサプライにしてしまうことがあるため、ナルシストは時に恐ろしい存在になる可能性があることを理解することは大切です。
③相手をコントロール出来なくなった
 
3つめの理由は、ナルシストがターゲットを切り捨てるのは、相手をコントロールできなくなったためです。
自己陶酔的な供給の犠牲者を作ることを日常生活の中に取り入れるナルシストは、ターゲットが境界線を引き始めたことでコントロールが利かなくなりました。
 
すると、彼らはどうするのかというと、コントロールできないことが屈辱で、その屈辱を感じず、最終的にターゲットを惨めな気持ちにさせるために毒を吐いたり罪悪感を植え付けます。
被害者は99.9%、こんな風に感じます。
 
「自分に問題があるんかも」「自分のせいなんや」
「自分がおかしいんや」「精神的におかしいんは私のほうなんやわ」
「自分がナルシストなんかもしれへん」
と思い込ませる、巧妙な心理操作を通じて、人を騙し、混乱させることにあります。
 
ナルシストとの関係では、こうした訳の分からない出来事が頻繁に起こりますし、これらの言葉のガスライティングは心理的虐待の一つとされています。
要するに、ナルシストのやっていることというのは、相手の心の領域に侵入し、それを荒らし、修復するのが難しいくらいになるまで混乱させ、突然去るような、ナルシストでない人からすると理解し難い行動です。
 
彼らは標的対象を自分のコントロール下に置きたいと考えており、一度タゲられて油断すると再び入り込んでくる可能性があるんですよね。
ターゲットは自己防衛のためにこうしたレッドフラッグと呼ばれる危険サインに気づいたら、加害してくるナルシストを完全にコントロールから遠ざけることが重要です。

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④見捨てられることに恐れている
 
ナルシストは「見捨てられること」を恐れていて、この恐れから不安や恐怖心が生まれます。
彼らは先ほどお話しした自己陶酔的な供給を必要とし、その供給源であるターゲットを失うことを避けたいのです。
 
しかし、捨てられる前に自分から相手を切り捨てることで、ナルシストは制御を保てるんですね。
このメンタリティは、境界性パーソナリティ障害(ボーダーライン)に関連することもあります。
 
ボーダーラインもナルシストも同じパーソナリティ障害クラスターB群ですので、症状や性格特性が混ざることもあるそうです。
よって、彼らは自分が傷つく代わりに相手を傷つけますし、これはあくまで彼らからすると自分を守る防衛反応なんですね。
 
ナルシストは自分に問題がある可能性を感じることが稀にありますが、その責任を避けるために投影や責任転嫁を行います。
このプロセスで、悪意や強い復讐心が芽生えることがあります。
 
何らかの出来事がトリガーとなって、ターゲットに対し嫌悪を覚えて、リベンジを目的としたフーバリングをすることもあります。
少し話がそれましたが、ここまで来るとサイコパスの要素も混じってくるので、復讐を果たそうとするナルシストはサイコパシーを含んだ「悪性ナルシスト」に当てはまることが多いです。
 
ナルシストはこのような悪性ナルシシズムや、虐待的なサイコパシーの一面、本来の自分の正体を隠す必要があると感じ、この時になると悪意や復讐心が高まることがあります。
彼らは自己陶酔的なサプライを失うことを怖れる反面、自分がターゲットに見捨てられるようなことをされた場合、復讐メンタリティを持ちます。
 
具体的に挙げるとすると、ストーカーや暴力以上に人を傷つける残酷な行為です。
「単に目立ちたい。マウントを取って優越感に浸りたい。人に注目されることで自己肯定感を高めたい」など、ナルシストにも様々なタイプがあり、一概にナルシスト全員が同じ特徴を持つわけではありません。
 
しかし、ナルシストは非常に攻撃的なパーソナリティであるため、「捨てられる前に、自分が相手を捨ててやる」と考え、復讐心を燃やすことが多いです。
競争心が強く、負けることを異常に恐れるため、自分が負け犬だと思われることを避けたいと考えます。
 
このプライドの傷つきに関連して、ターゲットを切り捨てる可能性が高まります。
これらの心理的要因から、ナルシストはターゲットを切り捨てることがあるんですね。

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⑤新しいターゲットが見つかった
 
ナルシストがターゲットを切り捨てる要因は他にもありますが、その一つは新しいターゲットが見つかったという理由も多いです。
ナルシストは、ターゲットとの関係を継続している中で、新たな供給源である別のターゲットを見つけることがあります。
 
並行して関係を続け、数人の予備のターゲットをキープすることもありますが、ほとんどの場合、新しいターゲットが登場した途端、以前のターゲットと置き換えることもあります。
また、カップル間の浮気だけでなく、職場やコミュニティ内でいじめの標的を変えるケースもあります。
 
ナルシストがターゲットを変える必要性があったということは、ターゲットをこれ以上コントロール出来なくなったことが一番に考えられます。
彼らは自分をコントロールできる状況を好むので、相手をコントロールできなくなったら、唯一の楽しみであったマインドゲームが終了するわけです。
 
しかし、ターゲットが自己主張を始め、距離を置いたり、境界線を明確に示し始めると、最終的に彼らは興味をなくし、新しいターゲットに向かうんですね。
旧ターゲットから自己陶酔を吸い付くし、古い自己陶酔に飽き飽きして新鮮さが失われると、彼らは新たな刺激を求めるのです。
 
こうして容赦無くターゲットの切り替えを行うナルシストは、非常に無慈悲で、人を冷酷に扱うことがあります。
世の中で虐待や酷い事件が起きる理由の一つは、こうした悪性ナルシシズムが背景にあると考えられます。
 
また、自己陶酔をもらえなくなった際、自己陶酔が必要なナルシストにとっては新しい供給源を探さないと、どんどんメンタルが低下してしまうわけです。
自己価値感がなく、他者の評価に依存しているナルシストは、早く新しい関係を模索しなければ心が満たされません。
 
ターゲットがナルシストの異常な行動を暴露し始め、その正体が暴かれてしまった場合、ナルシストは一旦退ける可能性が高まります。
欲求が満たせず、自己陶酔のサプライを与えてもらえない関係は、ナルシストにとって不必要だと考えます。
 
彼らは他者に承認され続けたいので、その関係内で退屈することを大変嫌います。
このようにターゲットを変えては、他者を自己満足のために利用し、奉仕活動としての関係を構築していくんですね。
 
このような関係では、ターゲットはナルシストの自己陶酔の供給源として扱われるので、かなり有害で破壊的な状況が生まれます。
こうした有毒な関係をアメリカの心理学では、トキシック・リレーションシップ(Toxic relationship)と言います。

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⑥ターゲットがパワーを取り戻した
 
ナルシストがターゲットを切り捨てる理由は、ターゲットがパワーを取り戻す可能性が高まった時です。
具体的なケースとして、まず、ターゲットが自分を守るためにナルシストの虐待や不適切な行動を第三者に打ち明けた瞬間、彼らは正体を見破られてしまったことになります。
 
そうなると、ナルシストは自身のコントロールを失いますし、今までの支配関係を続けることは不可能です。
この時、ターゲットは加害者であるナルシストとの関係性や問題を見つめ直し、対処法を学び始めることで、自己価値感が回復していきますよね。
場合によっては、彼らはターゲットが自分よりもより強くなったと感じ、諦めざるを得ません。
 
ターゲットが自分自身を取り戻すと、ナルシストはいてもたってもいられず、攻撃に出ます。
一番よく起こるのが、ネガティブキャンペーンと呼ばれる嘘や噂を吹聴する行為です。
 
自分の周りにいる人を巧妙に利用して、フライングモンキーと呼ばれる取り巻きを使ってターゲットに心理的圧力をかけるんですね。
例えば、よく使われる戦略を挙げると、ターゲットが職場を退職したケースだと、ナルシストは同僚を介してターゲットにアプローチし、情報を探ったり第三者を使って接触を試みることで、再びコントロールしようとします。
 
離婚中の夫婦だと、弁護士や共通の知り合いを通して、でっち上げの噂を流したり、精神的に嫌がらせをしてくることが多いです。
今日お話しさせていただいたように、ナルシストは非常に執念深いと同時に、かなり冷酷で自分のエゴを守ることを常に優先させる人たちです。
 
ターゲットに脱価値化をした後、廃棄と別れを行うことで、罪のない人に罪悪感を植え付け、無価値感を与え、自尊心を削ります。
過去にこうした経験をしたことがある方が一番忘れてはならないのは、「あなたには価値がある」ということです。
 
ナルシストは価値のない人を、ターゲットにすることはありません。
価値がない人から、自己陶酔を搾取することはできないからです。
 
廃棄と別れを行なった後は、自己陶酔が不足してきたら、フーバリングと呼ばれるものをしてくることがあります。
これは虐待のサイクルの第四段階であり、ナルシストと距離を置いた後、再びターゲットを引き寄せるために復縁を迫る行為です。
 
視聴者さんの中にも、フーバリングの経験がある方も多いかと思いますが、フーバリングに対処する際に重要なのは、思い切ってコネクションを断つことなんですね。
彼らからの接触やコンタクトを遮断することが大切で、なぜかというと、ナルシストは繰り返しフーバリングを試みることがあるためです。
 
そして、次に重要なのは、過去に起こった辛い出来事よりも、この経験から学び、前に進むことです。
過去の傷や辛さを背負ったままでなく、自分自身が成長し、傷を癒すことが大事だと思います。
 
良かったら皆さんの経験を共有して、コメント欄で感想やエピソードをシェアしていただければと思います。
 
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この記事を書いた人
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中村りん

アメリカ在住のナルシスト対策解説者・自己愛性虐待リカバリーコンサルタント

自身の経験から自己愛性パーソナリティ障害(NPD)、有毒な人(トキシック・パーソン)やガスライティングに関する専門知識を現地で学び、2021年よりYouTubeで情報発信を開始。

日本でまだ知られていないナルシスティック・アビュース(自己愛性虐待)の認知度や理解を高めるため活動中。

最先端のナルシスト情報を取り入れながら「目に見えない精神的虐待」や「心理的に攻撃してくる人」への対処法を解説。

同じ経験をされた方々の自尊心の回復とエンパワーメントを支援することを目指す。

【YouTube】https://youtube.com/channel/UCfEUQrCx31yDdNPiKqkApMg