中村りんの心理学研究所

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ナルシスト・ナルシシズム・自己愛性虐待を詳しく解説しています。

ナルシストがターゲットを脱価値化した結果、起こること|自己愛性パーソナリティ障害

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ナルシストがターゲットを脱価値化した結果、起こること|自己愛性パーソナリティ障害

 
ナルシストは自己陶酔を搾取していく過程で、ターゲットを理想化〜脱価値化した後、ある行動に出ます。
 
これは段階的に行われ、今回はナルシストが散々ターゲットを攻撃した末にどんなことが起こるのかお話しします。

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ナルシストがターゲットを脱価値化した結果起こること

 
ナルシストの虐待サイクルは4段階に分かれていて、前回の動画でお話ししたラブボミングと脱価値化が終わると、第三段階として「廃棄と別れ」がやっていきます。
 
もし、まだ視聴していない方がいらっしゃっいましたら、ラブボミングについての説明動画もぜひご覧くださいね。
ナルシストの虐待サイクル(Narcissistic abuse cycle)
第1段階 ラブボミング(Love bombing)
第2段階 脱価値化(Devaluing)
第3段階 廃棄と別れ(Discarding)
第4段階 フーバリング(Hoovering)
 
廃棄と別れは、アメリカではDiscardingと呼ばれるもので、捨てる、廃棄、破棄、放棄を表し、あまり良い意味で使われる言葉ではありません。このナルシストの虐待サイクル(Narcissistic abuse cycle)の概念は、まだ日本語で定義されていないのですが、私は廃棄と別れと呼んでいます。
 
どうしてかというと、廃棄と別れは、自己陶酔を吸い尽くしたナルシストがターゲットを捨てるか、精神的に疲れたターゲットがナルシストの元から逃げるかの二択でしかないからです。
 
Discardingは英語で、To throw away someone or something that's no longer usefulといって、「これ以上役に立たない者や物を捨てる」という意味になります。
 
廃棄と別れはナルシストやサイコパスなどの操作的で支配的なパーソナリティを持つ人が、ターゲットとの関係を終わらせる段階で起きます。彼らは脱価値化が始める際に、相手を過小評価し、価値のないものとしてみなします。
 
これは、ナルシストが理想化を終え、期待が満たされない時やより質の良い自己陶酔を与えてくれる新しいターゲットが見つかった時、被害者をこき下ろし始めます。
 
ラブボミングが終わってすぐに、脱価値化と廃棄と別れが同時に開始されることもありますし、サイクルの順番が混ざり合って起こることの方が多いです。
 
ラブボミングで標的対象と支配関係を築き上げ、自分に従うようにあらゆる戦術を使ってコントロールします。
 
底なしの自己陶酔のタンクを埋めるために、自分の価値を満たしてくれるターゲットに固執しますが、彼らが心の奥底に秘めている自己陶酔のタンクはブラックホールのようなものです。
 
それなのに、どれだけ周囲が自己陶酔を供給しても、ナルシストが満足することはありません。
 
無限に行われる自己陶酔的な供給を義務付けられたターゲットは、ナルシストと付き合っていく上で、深い関係になっていくにつれてどんどんエネルギーが消費していきます。
 
ガスライティングやモラハラなどの心理的虐待を受けながらも、時々ラブボミングの心理的操作をされることで、ターゲットは次第に感情をコントロールされるようになり、共依存関係に陥ったりします。
 
しかし、ナルシストには共感力や良心を持ち合わせていないため、容赦無くターゲットを切り捨てることがあります。
 
ターゲットは当然拒絶されたり、急に別れを告げられて、「裏切られた。見捨てられた」と感じるかもしれません。
 
要約すると、自己満足や自分自身の利益のために、自己陶酔を与えてくれる新しいターゲットを見つけて、浮気をしたりします。
 
すべてのナルシストが浮気をするということではありませんし、浮気自体がナルシストの特性でもありませんが、多くのナルシストは浮気をしやすいという研究データも出ているほど、彼らはパートナーの感情に考慮せず、裏切り行為を繰り返すことをためらいません。
 
浮気だけではなく、廃棄と別れの段階でナルシストは、恋愛や友人関係を急に絶って、全く交流しなくなったり、連絡を無視して姿を消すゴースティングと呼ばれるもよく使います。

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ナルシストはなぜターゲットに廃棄と別れを行うのか

 
ナルシストが廃棄と別れを行う理由は、3つあります。
 
①ターゲットに正体を見破られた場合
②自分が不利な立場に置かれ、ターゲットへのコントロールが効かなくなった場合
③虐待行為を継続できなくなった場合
 
ターゲットが周囲に被害を打ち明けて味方が増えたり、対処し始めて「相手をコントロールできなくなった」と焦り始めた時、ナルシストは廃棄と別れの段階に入ります。
 
ターゲットがナルシストの性格の異常さに気づき、知識をつけ始めたり、距離を起き始めると彼らはパニックを起こします。
 
心理的操作が効かなくなり、今まで効いていた精神攻撃も効かなくなったナルシストは、ターゲットから自己陶酔を得られないので面白くないわけです。
 
彼らはいじめても我慢してくれると判断した相手をターゲットに定め、いじめる対象がいなくなると、次の標的を探す必要があります。
 
どれほど私たちが自分を犠牲にしてまで彼らに尽くしたとしても、ナルシストはターゲットを捨てることに躊躇しません。感情的に未熟であるナルシストからすると、廃棄と別れは飽きていらなくなったおもちゃを捨てることと同じだからです。
 
ましてや競争心や見捨てられ不安も強く、自分が傷つく前に相手を傷つけたり、自分が捨てられる前に相手を捨てたいという考え方をしています。
 
たださようならと言ってまともな別れ方はできず、ターゲットに暴言を吐いて人格を否定し、傷つけないとナルシストは自分のプライドが傷つきます。
 
ナルシストは、ターゲットは今まで存在しなかったもののように振る舞うこともあり、ナルシシズムの振る舞いは非常に残酷だということが言えます。
 
ナルシスト自身も発達段階でトラウマを抱え、人から拒否されることや拒絶されることを異常なほど嫌い、見捨てられることを極力避けたいわけです。
 
捨てられる前に捨てるというには、自分が傷つかないように自分を守る防衛心が働いているからなんです。ターゲットに正体を見破られると、これまでしてきた虐待行為を継続することはできません。
 
今までターゲットは自分を賞賛してくれたり、注目してくれて自己価値を見出してくれていたかもしれません。それができなくなったナルシストは、ターゲットを敵とみなし、攻撃を仕掛けることがあります。
 
ですが、その責任を負うことは絶対に嫌なので、問題を全てターゲットに押し付けします。この時、「自分は善で相手が悪である。自分は何も悪くない」と周囲に知らしめようとする行動を取り、それがフライングモンキーを含むネガティブキャンペーンです。
 
廃棄と別れの段階では、ネガティブキャンペーンが起こる可能性が非常に高く、特に多いのが夫婦関係で離婚が決まった時です。
 
パートナーについて、「最低な母親だ。親失格だ」「子供の面倒を見ない。子供を愛していない」など、事実無根のでっち上げをして、自分がしてきたモラハラやDVをかき消そうとするかもしれません。
 
こちらが証拠を出しても、「そんなつもりはなかった」「覚えていない」と主張し、周囲にガスライティングを繰り返すので非常に悪質であります。
 
ナルシストのような周りの人たちを巧みに操ったり、洗脳しようとするマニピュレーターの性格を持つ人は、バレにくい嘘をついたり事実に細かい嘘を混ぜて伝えます。
 
よって、被害者が被害を信じてもらえないことが多く、むしろ被害者が悪者に仕立て上げられてしまうことがあります。
 
ナルシストは自己保身のために廃棄と別れを行い、自分が加害者であったとしても加害者であるという事実を受け入れ難いがために、被害者のふりをして周りにいる人たちを騙します。
 
廃棄と別れはナルシストが責任から逃れるために、彼らにとって必要な手段であり、今までターゲットに恩があったとしても、家族だったとしてもどんな関係でも起こるというわけです。

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ナルシストはいつか戻ってくる?

 
次に、ナルシストはいつか自分の元に戻ってくるのかというお話しをしたいと思います。
 
ナルシストがターゲットを手放した、もしくはターゲットに逃げられた場合でも、時が経ち、状況が変われば、彼らは忘れた頃に再び現れることがあります。
 
彼らの執着心は消えることはなく、未練がましいとさえ言えます。しかしその裏には、自分の都合を優先する自己中心的な思考があるため、再び接触を試みることは十分に考えられます。
 
これをアメリカの心理学ではフーバリング(Hoovering)と言って、ナルシストの虐待サイクルの第四段階にあたります。ナルシストは常に自己陶酔を欲しているため、ターゲットを手元に置いておく必要があり、2、3人予備のターゲットをキープしていることも少なくありません。
 
新しいターゲットから自己陶酔を得られないと、過去の人間関係に執着し、昔付き合っていた彼氏/彼女や、疎遠になった家族などに対し、フーバリングをします。
 
なぜターゲットを捨てたのに再び戻ってくるのかというと、ターゲットに廃棄と別れを行ったとしても、ナルシストはまだ同じターゲットから自己陶酔的な供給をすることができると思っているからです。
 
金銭的に援助してくれたり、自分のステータスを周囲に自慢するため、ストレスの吐口としてモラハラをしたいなど目的はその関係によってさまざまです。
 
ターゲットとして引き受けてくれる面倒見の良い優しい人を探しては、ラブボミングをして自分のターゲットにふさわしい人を選びます。
 
「ナルシストはいつか自分の元に戻ってきますか?」という質問をよくもらうんですが、自己陶酔に飢えさえすればナルシストは戻ってくる可能性が高いです。
 
ナルシストに廃棄と別れをされることは、気分の良いものではありませんし、別れ方も後味が悪くて相手に対して未練が残ったり、心が痛みますよね。
 
「自分の何がいけなかったんだろう」「私が悪かったのかな」と自分の問題点や欠点を探して、後悔だけが残ったり、罪悪感にかられるかもしれません。ただ今このような状況の中で悩んでおられる方がいらっしゃいましたら、自分に責任があるわけではないと自分に言い聞かせてあげてください。
 
廃棄と別れをされたことで、「自分には価値がないんだ」というマイナスの感覚に陥ることがありますが、あなたには価値があるということを頭に入れておかなければいけません。自分の信念を持っておかないと、また簡単に心を操られてしまうからです。
 
ナルシストは、自分が責任を取ることから回避するために、ターゲットの自尊感情を傷つけ、精神的苦痛を与えます。ナルシストとの関係から抜け出した後は、自分自身が受けた傷を理解し、自己回復に向けて積極的に取り組むことが大切です。
 
ナルシストと関わっていた時よりも、より強く、より輝かしい自分になることを目標に、前に進むことで、あなたは強さと成長を証明できて、ナルシストに負けない力を手に入れることができます。
 
あなた自身が幸せに生きることこそが、ナルシストへの最大の復讐となります。
 
あなたがあなたを押さえつけている限り、ナルシストから解放されることはできません。
 
時間がかかったとしても、その傷の痛みが少しでも収まるように、自分が今やれることを少しずつやっていくことが本当に大切だと思いますし、不安な中でもこうして私の動画やブログをみてくださり自分自身が抱える問題と向き合っておられる皆さんは本当に凄いと思います。
 
このブログが、今悩んでいらっしゃる方に少しでも勇気を与えられるようなものになればいいなと思います。また、今自分自身を責めておられる方に伝えたいことがあります。
 
あなたに対して暴言を吐いて酷いことを言ったり、暴力を振るって傷つけてくる人のために、自分自身を責めてはいけません。
 
あなたのせいじゃないし、あなたに悪い所があるからではないのです。
 
あなたは優秀で、価値がある人で、必要とされています。
 
辛い体験をされて、コメントをもらう時があります。
 
でも、あなたが優しくて親切で、周りの人に気が配れて、素敵な人なのに、彼らの言動によってそれを鵜呑みにして、彼らなんかのせいで自分を責めるのは本当にもったいないです。
 
私もここではお話ししていないことがたくさんあり、人生どん底に落ちたような体験をしました。だけど、どうにかなったし、今がどん底ならそれ以上下がることはなく、その後は上がっていくしかありません。
 
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次回は、「執着するナルシストのフーバリングの実態を大解剖」というテーマで、このナルシストの虐待サイクルをより詳しく解説していきます。
 
皆さんがより効果的なナルシスト対策を行えるように、具体的な方法をお伝えしていきますので、ぜひ見逃さないようにしてくださいね。
 
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この記事を書いた人
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中村りん

2016年に渡米し、悪性ナルシストにターゲットにされた経験から、現地で学んだ自己愛性パーソナリティ障害(NPD)、心理学、ガスライティングに関する知識を活かし、2021年にYouTubeで情報発信を開始。日本ではまだ知られていない自己愛性虐待(Narcissistic Abuse)の認知度や理解を高めることを目的とし、”ナルシスト対策解説者”として活動中。同じ経験をされた方々の自尊心の回復とエンパワーメントに向けて、「目に見えない精神的虐待」や、「心理的に攻撃してくる人」への対処法をアメリカの最新心理学から解説。

【YouTube】https://youtube.com/channel/UCfEUQrCx31yDdNPiKqkApMg