中村りんの心理学研究所

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ナルシスト・ナルシシズム・自己愛性虐待を詳しく解説しています。

【人格障害】境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害の違い|ボーダーラインvsナルシスト

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【人格障害】境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害の違い|ボーダーラインvsナルシスト

皆さんは『境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害の違い』って何だと思いますか?実はこの2つのパーソナリティ障害は、特徴がよく似ていて混乱する方が多いんですね。
 
『境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害の違いを知りたい』というリクエストをいくつかもらっていたので、今日はよく似た特徴を持つ境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害を区別しやすいように、違いについて解説していきます。

免責事項:解説は理解を深めるための教育と情報提供のみを目的とし、専門的診断に代わるものではありません。ご自身のメンタルの心配がある方は、自己診断せず、お住まいの地域の医師や専門家にご相談ください。

クラスターB群とは

 
数ある障害の中にパーソナリティ障害(人格障害)があります。そして、パーソナリティ障害は、クラスターA群(奇異型)、クラスターB群(劇場型)、クラスターC群(不安型)の3つに分かれています。
 
今日お話しする境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害は、クラスターB群に該当する訳なんですが、
 
クラスターB群
 
境界性パーソナリティ障害(Borderline personality disorder/BPD)
自己愛性パーソナリティ障害(Narcissistic personality disorder/NPD)
演技性パーソナリティ障害(Histrionic personality disorder/HPD)
反社会性パーソナリティ障害(Antisocial personality disorder/ASPD/APD)
 
の4つがクラスターB群のカテゴリーに分類されます。アメリカでは境界性パーソナリティ障害を患っている人、もしくは境界性パーソナリティ障害の傾向がある人をボーダーライン、自己愛性パーソナリティ障害の傾向がある人をナルシストと呼ぶことが多いです。
 
よって以下ボーダーラインとナルシストと呼んで、この2つのパーソナリティを説明していきます。
 
クラスターB群と言えば劇場型と言われているように、特徴をまとめると、かなりドラマチックです。『人に見捨てられたくない』という不安を持っているのがクラスターBですし、境界性パーソナリティ障害は特に見捨てられ不安が強いのが特徴的とされています。

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決定的な違いは『愛と承認欲求』

 
では、どうしてナルシストも自分の周りにいる人が離れていくことに対して、ボーダーラインと同じように悲しみや怒りを抱いたりするのか、この部分が少しややこしいと感じる方が多いと思います。
 
ナルシストもボーダーラインも共通点として、どちらも自信がなく、心が満たされないと感じています。どちらも人から拒絶されたり、見捨てられることに恐れていて、愛に飢えている状態です。
 
ナルシストもボーダーラインも、満たされない底なしのブラックホールのようなタンクを一生懸命満たそうとします。
 
『人から認められたい・必要とされたい』という欲求を承認欲求と言います。この2つのパーソナリティどちらも、承認欲求を満たすことが全てです。
 
決定的な違いはボーダーラインは他者から愛されること、もしくは愛に飢え、ナルシストは人から自分の存在を認められること、どれだけ自分に価値があるのか存在価値を証明することに過敏だということです。
 
彼らの背景には、幼少期に虐待やネグレクトを受けたり、愛情不足で育った、過度に甘やかされて育ったなど、親(養育者)との関係に何らかの問題が生じたと研究されています。
 
ボーダーラインが『自分は愛されていないんだ』と感じた時、またナルシストが『自分は認めてもらえないんだ』というフラストレーションを感じた時に、精神のバランスが不安定になって他者に攻撃することが、今でいうモラハラなどの根本的な原因であるとされています。どちらのパーソナリティも、自分の気持ちを満足させることが目的です。

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『相手の気持ちがどうであれ、自分を見捨てるなんて許せない』と自分の元から離れていく人に対して、否定的かつ攻撃的な行動を取るのがボーダーラインです。
 
一方で、自分をよく見せるために見栄を張って、ライバルに勝とうするのがナルシストです。ナルシストはボーダーラインと違って、人と競おうとすることが特徴的です。
 
愛情を与えて欲しいというよりも、愛されている自分を見せつけるための自慢がそもそもの目的なんですね。ナルシストは無意識にそれを愛だと勘違いして、人に『すごいね。羨ましい』と言ってもらえることで、『こんなに人に羨ましがられる自分は幸せなんだ』と錯覚します。
 
幸せの基準というのはまず、自分自身が決めるもので他人に判断を委ねるものではないと思います。自分さえ幸せを感じていれば、他人にどうこう言われても『自分は幸せに生きている』ということを本来は感じられるはずです。
 
ナルシストは他者と自分を比較して、ボーダーラインも自分のために他者に依存して、自分自身を愛することができません。ナルシストと付き合っていたとしても、結婚していたとしても、それが親や子供だったとしても、彼らが変わってくれることやこちらの心を満たしてくれることはありません。
 
結局は自分のエゴが一番大事で、ナルシストもボーダーラインも自分本意だからです。
 
ボーダーラインもナルシストのように共感性がなく、自己愛憤怒のような怒りを向けることがあり、この2つのパーソナリティの共通点はかなり多いです。
 
一瞬ボーダーラインもナルシシズムを持っているかのように振る舞いますが、もう1つ大きな違いは、ナルシストはエゴに過敏で、ボーダーラインは愛に敏感だということです。
 
同じ見捨てられ不安でも、ナルシストの場合は『自分を見捨てるなんて信じられない。別れさせられる前に、こっちから別れてやる!』という競争心を掻き立てます。
 
一方でボーダーラインは、相手が自分から去っていくことは恐怖でしかありません。
 
ナルシストはエゴを傷つけられたことに対して怒りを覚えますが、ボーダーラインはエゴよりも、ターゲットが自分を置いてけぼりにすること自体に激怒します。
 
例えば、幼児の癇癪なんかが分かりやすいです。離れていくお母さんに対して『置いてかないでよ』と泣き叫ぶのがボーダラインだとすると、ナルシストは意地悪な子供が『お母さんがそれをするんだったら、私はこうするからね。そしたら、お母さんはそれが出来なくなるもんね』という、この2つの違いです。

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ボーダーラインとナルシストはお互いに惹かれ合う

 
では、これらのパーソナリティについて、もっと踏み込んだお話しをしたいと思います。実はボーダーラインとナルシストは、お互いに惹かれ合うことが多いと言われています。
 
共感力が低い、でもカリスマ性があり魅力的なナルシストに、見捨てられ不安のボーダラインがとにかく尽くすという関係性が生まれやすいんですね。何かにのめり込むボーダーラインは、他者に依存しやすいです。
 
ナルシストも自分の自尊心を満たしてくれる人に執着しやすく、次第に相手に投影をし責任転嫁します。ナルシストは、相手が自分から離れていかないように仕向けることを得意とします。
 
そして、これらのパーソナリティ障害を持つ人同士が、付き合ったり家族にいる場合は、トラブルが絶えないかと思います。

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パーソナリティが混合することもある

 
パーソナリティ障害に他のパーソナリティ障害が混合することもあるそうです。また不安を感じやすく、鬱っぽいからボーダーラインなのかというとそうではなく、パーソナリティ障害は精神科医によって診断されます。
 
基本医師は症状や特徴をトータルで見て、1つのパーソナリティ障害として診断を下すらしいですが、研究ではパーソナリティ障害の特徴は混ざることもあるそうです。『この人ナルシストっぽいな』と感じ、恐らくパーソナリティ障害の傾向があったとしても、診断を下せるのは医師だけです。
 
障害が有る無いに関して、よくこの概念を『グレーゾーン』と言います。結果的に、『恐らく自己愛性パーソナリティ障害の傾向が強い。また強いナルシシズムを持っている』ということを理解し、パーソナリティ障害を持っている本人であれば、専門知識を持った医師やカウセンセラーの元で、カウンセリングや治療を受けることが最善だと思います。

難しい性格の人をどう対処したらいい?

 
もし家族や職場にこういった気難しいパーソナリティを持った人がいる場合は、まずその人物がどんなパーソナリティ特性を持っていて、どんな特徴があるのか知ることは対処法を見つけ出すのに役立ちます。
 
今日お話ししたナルシストやボーダーラインのようなパーソナリティ障害を持った人から、精神攻撃を受けた時は十分なメンタルケアが必要です。
 
メンバー限定動画では『ナルシストに攻撃されない接し方や賢い戦い方』について話しています。紹介している内容は、ナルシストだけでなくサイコパスや、今日ご紹介したボーダーラインなどのパーソナリティを持った人への対処法としても効果があります。
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この記事を書いた人
中村りん

渡米後、悪性ナルシスト(Malignant Narcissist)によるモラルハラスメント体験をきっかけにアメリカのナルシシズムに関する知識を得て、2021年情報発信するためYouTubeを開始。日本でまだ知られていない自己愛性虐待や、ガスライティングへの認知度と理解を高めるために活動中。同じ境遇の方の自尊心の回復とエンパワーメントに向けて『目に見えない精神的虐待』や『有毒な人(Toxic person)』への対策を解説。

【YouTube】https://youtube.com/channel/UCfEUQrCx31yDdNPiKqkApMg