中村りんの心理学研究所

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ナルシスト・ナルシシズム・自己愛性虐待を詳しく解説しています。

自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の人の特徴

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自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の人の特徴

自己愛性パーソナリティ障害とは

 

自己愛性パーソナリティ障害とは『ありのままの等身大の自分を愛せない障害』です。数ある人格障害の中のうちの一つで、このパーソナリティ障害を持つ人は自己愛に問題を抱えています。

誇大的で周りから自分が注目されることや賞賛を受けることを過剰に求め、また彼らは共感力に欠けているため相手の気持ちに寄り添うことができません。

他者からの評価されることにものすごく敏感で、傷つきやすく壊れやすいガラスのような自己愛を持ちます。そして脆い自尊心を守るために『自分は優れていて偉大な存在である』と思い込む特徴があります。

自己愛性パーソナリティ障害は英語でNarcissistic personality disorder(NPD)といい、NPDと略称され、別名は自己愛性人格障害です。

 

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ナルシスティック(Narcissistic)というのはナルシスト的、自己陶酔的、自己愛性という意味があります。

ナルシスト的というのは自己愛性を表し、自己愛性パーソナリティ障害は自己愛が強すぎるせいで周りが見えなくなってしまう障害です。
 
自己愛性パーソナリティ障害を発症する割合は比較的女性より男性に多いとされています。
 
この記事は自己愛性パーソナリティ障害に関する情報提供を目的とし、自己診断する目的、またはパーソナリティ障害を非難する目的ではないということをご理解していただきますようお願いします。自己愛性パーソナリティ障害が心配な方やそのご家族は精神科等で相談するなど、ご自身の問題に関するアドバイス等を得る為にお住まいの地域の専門家にご相談ください。

自己愛性パーソナリティ障害の症状

 

自己愛性パーソナリティ障害の症状についてですが、DSMと呼ばれるアメリカの精神医学会がつくる精神疾患の診断・統計マニュアルがあり、この診断基準では自己愛性パーソナリティ障害の典型的な特徴が取り上げられています。
 
医師など専門家でない限り誰かを診断することはできませんが、参考として紹介します。
 

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ポイント
NPDは診断基準の中の9つの特徴のうち、5つ以上当てはまるとNPDと診断されます。ちなみにDSMでは自己愛性パーソナリティ障害はクラスターBパーソナリティー障害に分類されます。
 

自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の診断基準

①自分は非常に重要で偉大な人物だと思い込んでいる。それを裏付ける業績や才能を大袈裟にアピールするが、実際には内容が伴っていない。

②自分の成功、権力、才能、美しさに関して現実にそぐわない理想的な空想にとらわれている。

③自分は特別な存在で、他の特別で地位の高い人にしか理解されないという考えを持っている。

④常に他者や世間から、大げさにほめたたえられることを求めている。

⑤特権意識が高い。周囲は自分に対し、特別有利な対応や意のままに従うのが当然だと思っているが、実際にそのようにされる理由を持ち合わせていない。

⑥自分の目的達成のために他者を不当に利用する。

⑦共感力に欠けていて、他者の気持ちや欲求や都合を理解しようとしない。

⑧他者に強烈な嫉妬をする。また、他人が自分を嫉妬していると思い込む。

⑨尊大で傲慢な行動や態度が目立つ。

 

自己愛性パーソナリティ障害の人の特徴

 

自己愛性パーソナリティ障害の人は自分の才能や能力を実際よりも高く評価し、自分の業績を誇張する傾向があります。『自分は誰よりも優れてて、特別な存在である』『特別扱いされるべき』と考え、自分の価値や業績を過大評価し、他者の価値および業績を過小評価します。

『自分と同じように特別で才能のある人、地位の高い人とのみ関わるべきである』という思考を持ち、『自分よりも下』だと判断した人を見下す特徴があります。また自分の自尊心を高めるために対人関係においてよく相手を利用します。

現実にそぐわない理想的な空想にとらわれ、周囲に賞賛されることや注目されることをを期待しすぎます。そのため周りの人から褒められるための行動を取ります。

これは常に『他の人から自分がどう見られているか』を気にしたり、周囲の目が気になっている状態です。

彼らを指摘したり否定すると『批判された』『侮辱された』ととらえられることが多く『自分の存在を否定された』と思い込み、屈辱、敗北感、怒りを持ちます。

この時、彼らは相手に暴言を吐いたり時に暴力を振るって、『自己陶酔』という自分のうぬぼれの感覚を守るために攻撃的になります。

『この人性格悪いな』『モラハラ・パワハラの被害に耐えられない』と加害者の特徴について調べてみると自己愛性パーソナリティ障害の特徴に当てはまったという方がほとんどで、モラハラ、パワハラ、いじめの加害者、毒親、クレーマー、モンスターペアレントに自己愛性パーソナリティ障害の人が多いとされています。

『自己愛』とは自分を愛するということですが、自己愛性パーソナリティ障害の人は自身の持つ自己愛が歪んでいます。彼らは自己陶酔し自分のことばかり気にするので、自分がミスをしても謝罪したり、自分の非を認めず人のせいにして言い訳をします。
 
『自分は楽をしてでも上にのし上がろう』と自分の立場を守るために、誰かを踏み台にし他者を陥れてでも優位に立とうとします。
 
自己陶酔し優越感に浸るために人が傷つく発言や人格否定、モラハラ行為を平気で行い相手の精神を追い詰める言動を繰り返します。それが家族や夫婦、友達、職場の人、近所の人、教え子どんな相手であろうと容赦なく精神攻撃し、狙ったターゲットを心理的にコントロールするのが得意です。
 

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プライドが高く他者を見下しますが、誰かに自分が見下されることは彼らにとって決して許されません。物事が自分の思い通りにいかないと激怒し、脅しを使って相手を操り欲しいものを手に入れ、目的を達成します。
 
相手を配慮し思いやりを持つことが難しく、対人関係においても好き嫌いが激しいのでトラブルを起こすことが大半で、彼らにとって人と良好な人間関係を築くことは困難です。
 
自分の間違いを認めたり、自分が取るべき責任から逃れようとし自分には甘い行動を取りますが他人には厳しく懲罰的です。
 
『物事が上手くいかないのは周囲が悪い』『周りの人の見る目がないだけだ』『皆んな自分のことを分かってくれない』『世の中は不平等だ』と常に不満を抱え、自分の問題から背を背け自分自身と向き合う代わりに他人を責めます。
 
自己愛性パーソナリティの障害の人は『自分に問題がある』と自覚したり、自分の性格の歪みを認識していないことの方が多いです。むしろ相手のミスをしつこく指摘したり説教して、必要以上に責め立てるモラハラ行為を正当化する姿勢を取ります。
 
『自分の人間関係がうまくいかないのは全て周りの人に問題がある』と本気で思い込んでいるので、自分の性格を見つめ直したり態度を改めることはしません。むしろ自分が変わろうとする代わりに、周りの人を変えようとし自分の思い通りに、自分の欲望のままに人や感情、人間関係をコントロールしていきます。

自己愛性パーソナリティ障害が形成される原因

 

自己愛性パーソナリティ障害を発症する原因は、遺伝的要因環境的要因の組み合わせに関係していると研究されています。

■自己愛性パーソナリティ障害の原因
 

・子供の頃に受けた虐待ネグレクト

・過度に敏感な気質

・親や周りの人からの過保護過剰な甘やかし

・親子間の共依存(親の自尊心を満足させるための存在として扱われた)

・親と良好な信頼関係が築けなかった

・幼少期周囲に操作的な人がいて、人をコントロールの方法を学んだ

周りの人から過大評価され、常に過度の賞賛を受けて育った

 

親や周りの人からの精神的または身体的虐待や過保護など過度の甘やかし、幼少期に抱えたトラウマによってその人格が形成されます。

遺伝だけではなく、幼少期に抱いた不適切で複雑な感情によって形成されることもあるということなんですね。

彼らは愛着障害を抱え、親から十分な愛情を与えてもらえなかったなど発達している段階で必要な何かが満たされなかった可能性があるとされています。

病的なナルシシズムは子供の頃世話をする役であった親との質の低い関係性によって生まれます。

親子関係で問題が生じ『自分は親から愛されていない』と感じながら成長していく段階で、彼らは『自分には価値がないのかもしれない』『自分は人から重要とされない人間で、誰からも必要とされないんだ』と思い込むことによってこういったパーソナリティが形成されます。

自分が傷つくのを恐れ自分を守るために他人を操作し、またこういった心理的操作(マニピュレーション)の方法を周りの大人から習得します。幼い頃に『こうやって人を操ることで自分の欲しいものが手に入るんだ』『人をコントロールすると自分の言うことを聞いてくれるんだ』と知り、無意識に人を支配し操作するようになります。

周囲に自分の存在を理解してもらうために他者を犠牲にし、自分のエゴ(自尊心)が傷つくのを防ぐために誰かを過小評価し時には『脅し』を使って、人に敵意を向け怒りをぶつけることが習慣化されていきます。

自己愛性パーソナリティ障害の人にとってそれはごく普通のことで『誰かを傷つけているかもしれない』という自覚はなく、彼らにとって正当な目的を持ってこういった振る舞いをします。

彼らは誰かに批判された時『自分の存在を拒否された』と計り知れない屈辱を感じ、相手を敵視し攻撃します。自分を守るために怒りを見せ、脅し、相手を軽蔑・無視して人の評価を下げます。

それが自己愛性パーソナリティ障害の人にとっては生きていくのに必要不可欠な『自己陶酔的な供給』というエネルギーになり、狙ったターゲットは彼らのエネルギー源になります。

自己愛性パーソナリティ障害の人が必要な自己陶酔的な供給

 

自己陶酔はナルシシズムとも言い、自己陶酔的な供給は英語ではNarcissistic Supplyと言います。
 
自己陶酔的な供給とは
『褒め言葉、賞賛、注目、優勝などの成果、パワーを持っているような力強い気分、環境や誰かをコントロールできていると感じる気分、中毒性のある物質や活動、感情的なエネルギー(ポジティブまたはネガティブな場合がある)』

 

ナルシストは注目されるためにこの供給を行い、内側の自己感覚が空っぽである自己陶酔者は外側から自己陶酔的な供給を得ます。

供給の方法もポジティブな自己陶酔とネガティブな自己陶酔の2種類あります。

ポジティブな自己陶酔は称賛されるためにカリスマ性を発揮し、成功を収め人に注目されたり、周囲に認められること、例えば大きな家、お世辞、褒め言葉などの賞賛やお金などが挙げられます。

一方でネガティブな自己陶酔は、他人を支配し精神的に攻撃したりなど嫉妬心や競争心が生まれ破壊的になります。これがモラハラにエスカレートする理由で、自己陶酔をする人は『相手をコントロールできている』『自分の方が上で、自分の方が優位に立っている』と優越感に浸りパワーを感じ、自己陶酔的な供給は麻薬のように中毒性があるんですね。

■合わせて読みたい■

 

ナルシストと自己愛性パーソナリティ障害

 

結論からいうと、いつも私が動画やブログでお話しする『ナルシスト』の傾向が極端になると、自己愛性パーソナリティ障害の傾向に該当することがほとんどです。

 
ナルシストが病的に加速して、生活に支障をきたしたり人間関係でトラブルを起こすことが繰り返されると自己愛性パーソナリティ障害に該当する可能性が高いと言われています。
 

ナルシストって『自分のことが大好きな人』じゃないの?

私の住んでいるアメリカでは診断を受けていない人のことをNPDの気があったとしても自己愛性パーソナリティ障害と呼ぶことはなく、ほとんどの人がナルシシズムの要素を持った人を『Narcissist(ナルシスト)』と呼んでいます。

 
ただ自分に自信があったり、ナルシシズムの要素を持っているからと言ってこの人格障害を持っているということにはなりません。またナルシストという言葉は日本とアメリカでは少し異なって認知されているんですが、日本でナルシストと聞くと『自分のことが大好きで自分に自信がある人』『いつも鏡で自分のことをチェックしている人』と考える人が多いと思います。

ただ海外ではナルシストは『自己愛の強い歪んだ人格を持った人』または『ナルシシズムの要素を持った人』と一般的に認知されています。

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自己愛性パーソナリティ障害の人への対処法

 

操作的で支配的な自己愛性パーソナリティ障害を持つ人にターゲットにされ、精神的に追い詰められ職場を離れざるを得なくなったや、モラハラに耐えられず離婚を決心したなど被害を受けた方はかなり多いと思います。

実際に毎日のように私のYouTubeチャンネルを観てくださっている視聴者の方々から『どのように対処すればいいのか』悩み相談をいただくんですね。

このような自己愛の強い難しい人とのトラブルに巻き込まれないようになるべく関わらないように、距離を取ることが最善です。

自己愛性パーソナリティ障害という破壊的な性格を持つ人と深い関係に陥ると、メンタルを追い込まれ精神が消耗する恐れがあります。

いくら相手が自分のことを必要としてきても自分のメンタルを守ることを優先し、何か頼まれてもやんわり断るなどして彼らとの間に上手く境界線を引きます。

もし彼らが距離感が分からずに境界線を破ったり、自分の領域に侵入ししつこく付き纏ってくるようであれば、無視を徹底することも最善だと思います。

こちらの動画では、自己愛性パーソナリティ障害の人とどのようにして上手く付き合っていけばいいか、『自己愛性パーソナリティ障害の人に出会った時狙われないように対策するべきこと』について解説しています。

youtu.be

私のチャンネルでは『自己愛性パーソナリティ障害の人に対処すればいいのかわからない』という方に、話し方、接し方、やってはいけないことなど大事なポイントをまとめて紹介しています。

ガスライティングフライングモンキーなど日本ではまだ広く認知されていない情報をアメリカから発信しているので、現在自己愛性パーソナリティ障害の人にターゲットにされて自分を守るために対処法を知りたいという方に必見です。

自分に合った解決策を見つめ、自分自身の精神や生活を守ることをまずは大切にしましょう。

 
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この記事を書いた人
中村りん

渡米後、悪性ナルシスト(Malignant Narcissist)によるモラルハラスメント体験をきっかけにナルシシズムやパーソナリティ障害を知る。アメリカの自己愛性パーソナリティ障害(NPD)に関する研究から得た知識を集め、同じ境遇の方に向けて『目に見えない精神的虐待』や『有害な人(Toxic person)』への対策を解説。

【YouTube】https://youtube.com/channel/UCfEUQrCx31yDdNPiKqkApMg